
私が日本のナースの人に欧米式の思考をインストールして日本で活躍できる中堅ナースを育てることができるかと言うと、私自身が日本で中堅ナースをしていた時に、私自身の力では自分の環境を変えられなかったことに起因するんだよね。

奈央子さんは日本にいる頃、中堅ナースだった頃はどんな感じだったんですか?

今の由紀さんと全く同じ状況だったよ。お局様と後輩との板挟みで自尊心をすり減らし続けていて、嫌になりかけている感じだった。ただ、私は昔から海外でナースをしてみたいという夢があったから、そんな状況も海外に行くため、日本を飛び出すための理由にした感じで日本を出たね。


なるほど。奈央子さんにもそんな時代があったんですね。オーストラリアでナースになってみて日本とは全く違った世界がそこにあったんですか?

まったく違っていたよ。いかに日本のナース業界が特殊で、中堅ナースに負担がかかる場所だということが再認識した感じだね。オーストラリアでもナースになるまでだったり、中堅になるまでにはいろいろあったわけだけど、それを体験する中で、いつも思っていたのは、「こんな世界を先に知っていたら、日本ではもっとうまくやれていただろうな!」ということ。

どういうことですか?

日本でナースをしていると日本の常識やルールしかわからないでしょ?その中でどうやったらうまくいくかを私も一生懸命考えて自尊心をすり減らしていた。でも、海外に出てみて、日本で中堅ナースがうまくやるためには、外の世界を知る必要があったこと、つまり鳥かごの外にしか解決策がないということが身に染みてわかったんだよね。


つまり日本で中堅ナースが本当の意味で活躍したければ、その答えは日本で見つけるのは難しいということですか?

そう。そんな感じ。海外に出てみて、そこでナースをするには、どうしても考え方や思考を変える必要があったわけだけど、そうやって無理やり自分が変わったことによって、「あ、もし今の思考になれていたら、日本でも、もっとうまくやれていただろうな。」みたいな不思議な感覚になった。日本で悩んでいた時は思考を変えようなんて思いもしなかったし、狭い枠の中から答えを見つけよう見つけようとしていた。

あー、まさに今の私がそうですね。

でしょ?それしてるとどんどんつらくなる。今、私が中堅ナースにトミージョン手術が必要だと話しているのは、日本の中堅ナースこそ外の世界を知る者が必要だと思うから。まったく違う思考法を移植することがいかに重要で、成功に辿り着きやすいということが自分の経験でわかっているから。

なるほど。実体験からわかったんですね。

そう。いくら志が高く有能な人でも、自尊心が完全になくなってしまったら、その良さはつぶされてしまう。でも外の世界から思考法を移植できれば、失われた自尊心も回復させることができるし、そして強くなった移植した靭帯、つまり思考法を手にいれれば、今まで以上の活躍が可能になる。日本の中堅ナースを復活させるには、これ以外の方法はないんじゃないかって思うほどだよ。


トミージョン手術と本当によく似てるんですね?ナースを再建させるのは。

似てるでしょ?手術が必要なほど、日本の中堅ナースの自尊心は傷ついている。そのままにしておいたらピッチャー、つまりナースまで辞めてしまうことだってある。もったいないよね。だからそうならないためにも、再建手術以外、日本のナースを復活させるのは難しいと思う。でも、海外からの思考法を移植して自尊心を回復できたらなんとかなるよ。もう一度、ナースとして活躍できる。

あー、私もその思考法を移植して早く自尊心を回復させたいですね。

私、日本の悩める中堅ナースって、ラピュタの主人公、シータとパズーみたいな人たちだと思うんだよね。

え?どういうことですか?

登場人物の男の子、パズーて、劇中、悪い人からお金を渡されて、ラピュタ探索を諦めさせられ、村の自宅に戻ってきた時、そこに海賊ドーラがいたでしょ?そこでドーラに、「おめおめと逃げ帰ってきたのかい!」とかなんとか言われて情熱に火がついて、結局、ドーラについていくことを選択し、ラピュタに行けたじゃん。あの時のパズーこそ日本の中堅ナースだよ。ラピュタを見つけるという夢を諦める一歩手前の状態のパズー。


狭い病院の中で自尊心を傷つけられて、情熱とか信念とか夢とかを諦めかけていて、でも「これでしょうがないんだ!」と思っている心境は確かにあの時のパズーみたいですね。

でも、そういう時じゃないと、海賊ドーラに着いていくなんて決断はできないはずなんだよね。そういう心境の時、つまり八方塞がりな状態だからこそ、今までのやり方ではダメだ!ということが直感的に理解できるし、パズーは、外の世界を知るドーラについて行くという選択ができたんだと思う。


自分で言うのはちょっと恥ずかしいけど、ドーラのように私は外の世界を知っている。そしてドーラのようにめちゃくちゃな生き方をしてきた。だからこそ、パズーやシータのように志の高い純粋な気持ちをもった人たちを応援したいと思うし、私のように回り道をすることなく自己実現をしてもらいたいと思っちゃう。まさに海賊ドーラの心境(笑)

私もラピュタを見つけるという夢をあきらめて村で細々と生きてたくはないですよ。

そういう選択をする人もいて良いと思うけどね。諦めの世界に迎合して、お局様になるという選択もある。でも、パズーのように新たな挑戦をして、外の世界を知る者からの助言を受け、ラピュタを見つけるという小さい頃からの夢を叶える生き方を選んだほうがよくない?

私、誘われてるんですね?

そうドーラとしてね(笑)

あ、ちなみにシータはどんなイメージなんですか?

パズーが試行錯誤して悩みながら一流のナースになっていく人であれば、シータはそうなるべくしてなる人みたいなイメージだけど、シータにもドーラは必要なわけで、日本における悩める中堅ナースはパズーかシータ、両方のパターンがいると思う。

私はまさにパズーだな。

由紀さんはパズーだね。私は日本時代はパズーみたいだったけど、ドーラに誘われることなく、自分から海賊になってしまった無鉄砲のアンポンタン(笑)でもだからこそ、由紀さんのかわりに人があまり体験できないことをいっぱいしてきたし、今ではドーラとして、パズーやシータに助言ができると思っているよ。

ラピュタの例えはわかりやすいですね。

あ、でもパズーやシータのように死にかける必要はないからね。そのことは私がすでに体験してきてるから(笑)その思考法をインストールして日本の現場で使えるようにトレーニングするだけでいい。それがナース版ドーラの私ができることだよ。
次回はラストですが、ナース版トミージョン手術の欧米式の思考法をインストールしてから日本でプラスに使えるようにするにはどうすればいいか?という部分を解説していきます。
トミージョン手術で例えるなら、手術後のリハビリのやり方になります。これを知るだけでも、今の職場での嫌な上司をかわせるようなったり、お局様の嫌味をあしらえる力がついてきたりするので、ぜひ次も進んでみてください。
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